Message
挨拶
世界規模の保健課題を扱い、国外の、または文化の異なる対象の健康を守りたいと考える皆さん、国際保健の世界へようこそ!
国際保健の扱う課題は、保健医療システムというグローバルな、または国全体の仕組みを考えるものから、システムに収まらない、特別な目の前の患者さんについて個の視点で深く掘り下げるものまで、幅広くあります。現在の情報コミュニケーションテクノロジーと海外渡航の日常化により、感染症や日常生活行動、それに影響する情報も、国境を容易に超えるようになりました。ある国で問題になっている疾患が、明日自分に降りかかりかねない時代です。国際と国内の境界が曖昧になってきた時代とも言えると思います。こうした不安の増えた時代にこそ、エビデンスとその扱い方が重要です。
エビデンスの構築とその解釈は、関わる科学者の価値観を反映するものです。世界の動向を追うと同時に、どうしていくべきか世界に向けて発言し、道筋を描く、アジェンダを設定できるリーダーシップが求められています。世界中の研究者・科学者とつながることで、国内の問題の解決の糸口を掴めたり、逆にこちらが解決策を提案することもできます。それは、価値観の押し付けではなく、対象となる人々にとって本当に大切なことを理解した上でないと、効果的な提案になりません。本研究室では、皆さんと「対象の方にとって、本当に大切なことは何か、その上で研究者・科学者として我々は何をすべきか」を極めていきたいと思います。
国際保健のキャリアは、道が決まったものではありません。様々な挑戦も伴い、多様な価値観に柔軟に対応し、自身の人生の様々な出来事と折り合いをつけながら進んでいかねばなりません。しかし、研究者になる、科学者になる、またはその考え方を掴んだ上で実践家になるということは、自分で考えてその歩みを進める選択肢が与えられるということでもあります。とてもワクワクして楽しいことです。皆さんと一緒に、世界における健康を促進し、ケアを提供する医療の本質を考える学びを進められることを楽しみにしています。可能性は未知数ですので、迷っている人はぜひお気軽にご相談ください。
新福洋子